イスラエルがイランを空爆する可能性を考えてみた
イスラエルがイランを空爆する可能性をいくつかの要素に分けて整理してみた。せっかくなのでアップ。
- 空爆が成功に終わり核施設を完全に破壊。
- イランやヒズボラからの反撃による被害が(ほぼ)無い。
- 経済制裁をされているイラン国民が変革を求めて政権を打倒し、(イスラエルに脅威のない)民主主義国家が設立される。
○イランにとっての理想シナリオ
- とにかく核開発に突き進み(核保有国になった後に侵攻された国は無いため)核保有を宣言する。
- 空爆されたとしても被害が軽微であり、平和利用目的であったのに空爆されたと主張し、NPT(核拡散防止条約)脱退へと繋げる。
- 中東諸国の反イスラエルがますます強まり、イスラエルの孤立化を招く。
○空爆する可能性を後押しする要素
1981年6月:イラク原子炉爆撃事件
2007年9月:イスラエル、シリア空爆を認める
○空爆しない可能性を後押しする要素
- 自国への影響(被害)として、イランからの反撃の可能性、ヒズボラ(レバノンに本拠を置くイスラム教シーア派の政治組織)のミサイル3−4万基による攻撃の可能性がある。→2006年7月にレバノン侵攻を戦い、ヒズボラはレバノンからロケットを打ち込み、イスラエル側に100名以上の死者を出した。
- 作戦実行の困難さとして、1.対象の施設は地下にある4か所以上?で、米軍のバンカーバスター無しで(あったとしても)破壊できるか疑問が残る。2.航続距離は往復3200キロ(イラク原子炉爆撃事件の際の航続距離の倍程度)→アゼルバイジャンの基地借用権を得たとの米誌フォーリン・ポリシー電子版の報道(2012/3/29)。3.イランの防空網の存在がある。
- 国民がイランの核の脅威を強く受け止める段階に至っていない。
- 国際社会からの反発や制裁の可能性。
○どちらにも取れる要因
- イランの核開発は2012年中、遅くても2015年までには終わるとの推測。
- 選挙への影響。
○その他
by spoly
イランは協調路線ではなく強硬路線を取る方が(経済制裁を含めて考えても)彼らが考える国益に沿う。一方イスラエルができる事はイラン経済制裁が有効な手段となっていない以上、限られてきているが、自国への影響という点から空爆はしないのではないか。かといって他にイランの核開発を止める有効な手段も無いように思えるのだが。